第2次岸田改造内閣を支える副大臣、政務官計54人のうち、少なくとも19人が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体にパーティー券を買ってもらうなど教団側と接点を持っていたことが12日、毎日新聞の取材で明らかになった。既に関係を認めた閣僚7人と合わせて計26人が政府の要職に就任。いずれも自民党議員で、同党との根深い関係が相次いで判明し、改造による政権浮揚は見込めないとの指摘が出ている。 毎日新聞は副大臣26人と政務官28人に就いた自民、公明両党の議員事務所に教団との関わりについて質問を送付。事務所や本人の口頭での返答も含め、48人から回答を得た。 接点を認めた副大臣は、デジタルの大串正樹▽内閣の和田義明▽外務の山田賢司▽文部科学の井出庸生▽農林水産の野中厚▽経済産業の中谷真一▽国土交通の豊田俊郎、石井浩郎――の8氏。政務官は、デジタルの尾崎正直▽内閣の中野英幸▽総務の国光文乃、中川貴元▽法務の高見康裕▽外務の高木啓、吉川有美▽文科の山本左近▽国交の古川康、清水真人▽環境の柳本顕――の11氏だった。 大串氏は今年5月にパーティー券6万円分、山田氏は2018年4月に4万円分を関係団体に購入してもらった。大串氏は「ちゃんと(教団側との)関係は断つようにします」と話した。和田氏は21年衆院選で教団側から名簿を受け取り、事務所が「今後は一切関係を持たないと約束する」とコメントした。 教団が関係するイベントや会合などに出席した(秘書の代理出席を含む)のは山田、野中、中谷、豊田、尾崎、中野、中川、高見、高木、古川、柳本の11氏。野中氏は「当時は(教団の関係を)知らなかった。以前のようなお付き合いはわきまえていく」と話した。尾崎氏は「選挙前の団体のあいさつ回りの一環だった」と説明した。 祝電やメッセージを送ったのは大串、和田、井出、国光、吉川、山本、古川、清水の8氏だった。井出氏は「一層厳しく付き合いは見直していきたい」、吉川氏は「関係先を確認し、慎重に付き合いを決めていきたい」と語った。 杉田水脈総務政務官は教団との関わりについて「全く何の関係もございません」と記者団に否定した。事務所は取材に対し、16年8月に米ニューヨークの教団施設で講演したとの指摘について「講演したのは事実」としながら「どのような施設であったかは存じていません」とコメントした。 松野博一官房長官は12日の記者会見で、副大臣・政務官の教団との関係については閣僚と同様に「点検と厳正な見直し」を求めたとし、「これを了解した者のみを任命したところだ」と説明。あくまで自主的な取り組みに委ねる考えを改めて強調した。しかし、国民の理解を得られるだろうか。 政治評論家の有馬晴海さんは「旧統一教会を巡る国民の厳しい視線を甘く見た人事で、これでは内閣支持率は下げ止まらないだろう」と指摘。教団とイベントなどとの関係について「当時は知らなかった」という議員側の説明が目立つことに関し、「本当に無知な人もいるかもしれないが、そう言い逃れるしかない人もいるのではないか」と疑問を呈した。 教団への高額献金などの被害者支援に携わる紀藤正樹弁護士は「政治家は旧統一教会との縁を一刻も早く切り、超党派で被害防止や救済策に取り組んでもらいたい」と話した。