東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事(78)が大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側から多額の資金を受領したとされる事件で、東京地検特捜部は27日午前、同社の青木拡憲(ひろのり)前会長(83)の自宅(東京都渋谷区)を捜索した。また、都庁本庁舎にある組織委(清算中)にも捜索に入った。
特捜部は26日に高橋氏の自宅や会社を受託収賄容疑で捜索。大会のスポンサー募集を担っていた大手広告会社「電通」(東京都港区)も関係先として捜索した。高橋氏からも任意で事情聴取し、不透明な資金提供の経緯などについて調べている。
(写真:読売新聞)
関係者によると、高橋氏は、代表を務めるコンサルタント会社「コモンズ」(東京)を通じ、2017年秋頃から21年の大会閉幕頃までの間、AOKI側からコンサル料として月100万円、総額で少なくとも計4500万円を受領したとされる。
AOKIは18年10月に組織委と契約を結び、五輪・パラのスポンサー企業の一つ「オフィシャルサポーター」となった。五輪エンブレム入りのスーツなどの公式ライセンス商品を販売し、計約3万着を売り上げていた。
青木前会長は特捜部の任意聴取に対し、高橋氏側への資金提供を認めた上で、「高橋さんの人としての力に期待した」と説明。一方、AOKI幹部の一人は「高橋氏からの紹介や助言で、ライセンス商品がスムーズに販売できるようになることを期待した」と供述しており、特捜部は、提供資金の趣旨解明には強制捜査が必要と判断したとみられる。