韓国の情報機関・国家情報院(国情院)と警察庁は18日、労働組合の全国組織「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」関係者の国家保安法違反の疑いで、ソウルにある民主労総本部の家宅捜索に乗り出した。
民主労総側は弁護士の立ち会いを求め、国情院と警察関係者が本部に入ることを阻止している。双方がもみ合いになる場面もあった。
国情院側は聯合ニュースの取材に対し、「数年にわたり内偵を進めてきた事案で、証拠を確保している」と明らかにした。
家宅捜索は国情院が捜査している南部・済州島にある革新系団体の元幹部らによる国家保安法違反の事件と関係があるとみられる。警察当局などによると、元幹部は2017年、カンボジアのアンコールワットで北朝鮮の工作員と接触。地下組織を結成し、北朝鮮から受けた反政府闘争、韓米軍事訓練の中止などの指令を実行した疑いが持たれている。
国情院は昨年11月と12月に3人の自宅や事務所などを家宅捜索し、地下組織の名称を確認した。北朝鮮の指令文も入手したとされるが、その内容は明らかにしていない。
元幹部らは容疑を否定し、国情院への出頭を拒否している。
警察関係者は「携帯電話など押収物については国情院が分析中で、結果次第では捜査の対象が拡大される可能性がある」と述べた。
済州島の市民団体などでつくる「公安弾圧阻止および民主守護済州対策委員会」は「政府がスパイ事件をでっち上げた」などと反発する声明を出した。