トランプの大統領就任演説は表面的な言葉とは裏腹に苦渋と韜晦に満ちていた。
大統領としての出発にあたり過去は拭い難い敗北であったと率直に認め、そのことを素直な言葉で内外に示して就任した大統領をかって誰も見たことがなかった。
「・・・本日の式典には、とても特別な意味があります。なぜなら、ひとつの政権から別の政権へ、または、ひとつの政党から別の政党へ、単なる政権交代をしているわけではなく、ワシントンD.C.から国民である皆さんへ、政権を取り戻しているからです。
あまりにも長い間、ワシントンにいる一部の人たちだけが、政府から利益や恩恵を受けてきました。その代償を払ったのは国民です。ワシントンは繁栄しましたが、国民はその富を共有できませんでした。政治家は潤いましたが、職は失われ、工場は閉鎖されました。権力層は自分たちを守りましたが、アメリカ市民を守りませんでした。彼らの勝利は、皆さんの勝利ではありませんでした。彼らは首都ワシントンで祝福しましたが、アメリカ全土で苦しんでいる家族への祝福は、ほとんどありませんでした。
すべての変革は、この場所から始まります。今、ここで始まっているのです。なぜなら、この瞬間は皆さんの瞬間だからです。皆さんのものです。今日、ここに集まっている皆さん、アメリカ中でこれを見ている皆さんのものです。・・」
ケネデイからオバマに至る歴代大統領の嘘八百の美辞麗句で残虐な帝国の強盗殺人犯罪を糊塗した醜悪な就任演説のレトリックに比べれば、例え、NYの不動産屋のドラ息子の与太であり一夜の夢であったとしても、希望を持ってアメリカ国民が歓呼するのは理解出来るだろう。
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