今後も新型核兵器をはじめとするこの種の未臨界実験は繰り返される。
オバマアメリカは貯蔵核兵器の「現代化」(既存核兵器の「寿命延長化LEP」=「老朽化し、2040年までに寿命を終える現存の核兵器を、単純で堅牢な新型弾頭で置き換えるという計画」を含む)のためのプログラムを積極的に推進するために巨額の予算を計上してきた。
この核兵器「現代化」プログラムの任務を実際に負うのが、エネルギー省内の国家核安全管理局(NNSA)である。
このNNSAに配分された2013年度予算は76億ドル(約6080億円)であり、これは2012年度予算の5%増額となっている。
テネシー州オークリッジの新しいY-12ウラン処理施設建設費は、1.6億ドルであった2012年度予算額が、2013年度要求額では3.4億ドル(約272億円)に跳ね上がっており、完成までの総額費は65億ドルから75億ドル(約6000億円)になると推定される。
例えば2012年度の米国の核兵器関連予算の総額は613億ドル[4兆9千億円]であった。ロシアは148億ドル、中国が76億ドル、フランスが6億ドル、インドが4.9億ドルと算出されており、米国の核関連予算はダントツである。
例えば2012年度の米国の核兵器関連予算の総額は613億ドル[4兆9千億円]であった。ロシアは148億ドル、中国が76億ドル、フランスが6億ドル、インドが4.9億ドルと算出されており、米国の核関連予算はダントツである。
予算は漸次増加している。
そのうちの主たるプルグラムには次のようなものが含まれている。
・ 1機5.5億ドル(440億円)の核兵器搭載用新型爆撃機LRPBの開発:長距離飛行が可能な新型爆撃機を2020年代半ばまでに80機から100機製造するための開発費に、2013年度予算として2億9千ドル(232億円)を計上。核兵器搭載用爆撃機として、現在、91機のB-52と20機のB-2を米軍は保有しているが、これらは2040年代半ばまで配備し続け、その後は40億ドルをかけて5年間で改良する予定となっている。この新型爆撃機LRPB研究開発のために、空軍は、これから5年間で63億ドル(5040億円)を要望している。
・ 核弾頭搭載用の新型クルーズ・ミサイルの開発研究予算として200万ドル(1億6千万円)。この上に、既存の核弾頭搭載クルーズ・ミサイルW80-1の寿命延長計画のために、NNSAは来年度予算として4600万ドル(36.8億円)を要求している。
・新型大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)の開発研究:現存する450発のMinuteman III 型ICBMは2030年まで配備し続けられるが、その後配備予定のICBMの開発研究のために1160万ドル(約9億3千万円)。さらに、Minuteman III 型ICBMにはW78型核弾頭が装備されているが、現在、これを順次、新型でさらに強力なW87型核弾頭に入れ替えている。このW87型核弾頭を2025年まで配備可能なようにするために、空軍は2013年度予算として8600万ドル(69億円)を要求している。
・核ミサイル搭載用新型潜水艦の開発研究:現在使われている14隻のオハヨー型潜水艦を、2031年から戦略核兵器搭載用の新型潜水艦SSBN-Xと徐々に入れ替えるための、開発研究費として来年度は5億6500万ドル(452億円)を要求。最終的に、海軍は12隻のSSBN-X製造を希望しているが、現段階での総額見積もりだけでも850億ドル(6兆8千億円)がかかると推定されている。
これらのプログラムのどれも、今後、数十年にわたるタイムスパンを考えての研究開発・製造である。