菅義偉首相が突然「事前調整」がなかったことを理由に任命拒否を合理化しようとしたことについて「学術会議側に責任をなすりつける卑劣なウソ」と批判しました。
五野井氏は「今までは任命段階での川下での介入だったが、それが推薦・選考段階の川上から介入していたという答弁に変わっている」と指摘しました。
五野井氏は、学術会議が既得権益になっているという菅首相の主張に対して「われわれ学者は社会還元をするために研究をしている。学問の世界は実力に基づいて上がっていく世界で既得権益も何もない」と語り、「任命拒否された6人も素晴らしい研究をしている。この方々が選ばれないのは法の支配への挑戦だ」と批判しました。
毎日新聞のインタビューで自民党の下村博文政調会長が学術会議について「軍事研究否定なら、行政機関から外れるべき」だと発言したことも話題に。五野井氏は「政府方針に反すればパージする、兵糧攻めをするということ。当然、学問の自由の侵害だし、それのみならず思想・信条の自由も侵害する危険な発言だ」と指摘しました。
五野井氏は「戦前、滝川事件、天皇機関説事件など、政府の弾圧によって学問の自由が失われた。これがポイント・オブ・ノー・リターン(後戻りできない地点)となって二・二六事件が起きた」と指摘。「あいちトリエンナーレのように、弾圧は学問や芸術から始まる。ここで止められるか、切迫している時期だ」と警鐘を鳴らしました。小池氏も「戦前の政府も口先では学問の自由は大事だと言いながら弾圧に走った。今もそういう意味では同じような状況にある」と語りました。
「違法性を認める気のない菅首相にどう落としどころをつけるのか」という視聴者からの質問に、五野井氏は「菅政権を倒すしかない」と述べ、そのためには「野党と市民が手を取り合って共闘していく以外に道はない」と訴えました。小池氏は「次の総選挙で菅政権を倒して新しい政権をつくるということを野党として鮮明にする必要がある」と主張しました。
番組の最後に五野井氏は「学者だけの問題と思わないでほしい。政府が思想・信条に土足で踏み込んでくる時代になっていくのか、危うい分水嶺(れい)にいる。そうならないためにネットや路上で声を上げてほしい」と呼びかけました。